公立藤田総合病院 泌尿器科紹介
公立藤田総合病院は福島県北部の国見町にあります。病床数311床(一般病床299床、結核病床12床)の総合病院で、医療圏は伊達郡・伊達市・福島市・福島県相双地区・宮城県南部(白石市、丸森町、蔵王町)・山形県など広範囲にわたっています。
当院は免震構造であり、2011年3月11日の震災時も、人的な被害もなく、建物・医療機器・備品には全く損傷を認めませんでした。
泌尿器科は、1968年に開設され、1983年から伊達智徳先生が常勤として赴任され発展してきました。現在は、指導医2名(村木修、熊谷伸)と非常勤医1名(伊達智徳)で診察しています。
当科では、様々な手術法・治療法を用いて治療を行っております。以下に主な手術・治療について説明します。
1. 前立腺肥大症の手術
@ レーザーを用いた前立腺核出術(HoLEP : Holmium Laser Enucleation of the Prostate)
→前立腺肥大症の肥大腺腫を、レーザーを用いてくり抜く手術です。出血も少なく、尿道を通して手術を行いますので、腹部に傷は付きません。前立腺肥大症の再発も抑えられます。全身麻酔で行います。入院期間は5日前後です。
A 経尿道的前立腺切除術(TUR-P)
→従来から行っている手術です。全身麻酔又は腰椎麻酔で行います。入院期間は7日程度です。HoLEPと同様に腹部に傷は付きません。
2. 前立腺癌に対する手術療法
@ 腹腔鏡を用いた前立腺全摘術
→下腹部に小さな穴を5か所開け、腹腔鏡(内視鏡のこと)を挿入して前立腺を摘出します。手術野を拡大してテレビ画面で見ながら手術を行います。腹部には小さな傷が残る程度です。全身麻酔の手術で、10日程度の入院です。
A 開腹による前立腺摘出術
→ほとんどの場合、腹腔鏡で手術が可能ですが、鼠径ヘルニアの手術既往のある一部の患者さんや、下腹部に手術既往のある患者さんでは、腹腔鏡手術が困難なことがあります。そのような場合は、従来から行っている開腹による 前立腺全摘術を行います。全身麻酔の手術で10日程度の入院です。
B HIFU(高密度焦点式超音波)療法も行っています。
3. 腎癌の手術
@ 腎部分切除
→腎癌(多くの場合腎細胞癌です)で、腎機能温存の目的で癌の部分のみ切除して、正常な腎組織を残す手術です。腹腔鏡手術が中心ですが、開腹術が必要な患者さんの場合もあります。
A 腎全摘術
→大きな腎癌の場合、腎温存は困難ですので、腎全摘術が必要です。腹腔鏡手術または開腹術を癌の大きさや患者さんの状態に応じて決定します。
4. 腎盂尿管癌の手術
@ 腎盂や尿管にできた癌は、腎尿管全摘術および膀胱部分切除術が必要です。
A 腎尿管の摘出は腹腔鏡で行い、下腹部正中切開で尿管下部の処理と膀胱部分切除を行います。
5. 尿路結石症の手術
@ 体外衝撃波結石破砕術(ESWL)
→当院では1986年から行っており、東北地方では最初のESWL実施病院でした。
A 経尿道的尿管結石破砕術(TUL)
→尿道から膀胱、そして尿管まで細い内視鏡を挿入して、結石を直接観察しながら、レーザーやリトクラスト(結石を破砕する機械の一種)を用いて結石を破砕します。多くの場合、全身麻酔で行います。入院期間は3〜5日です。
B 経皮的腎結砕石術(PNL)
→背部から腎盂内に内視鏡を挿入して、腎結石を破砕する手術です。
C TUL assisted PNL(TAP)
→TULとPNLを組み合わせて腎尿管結石の手術を行います。
6. ラジウム223(ゾーフィゴ)を用いた骨転移を有する去勢抵抗性前立腺癌の治療
@ 当院では、去勢抵抗性前立腺癌(ホルモン療法を行っていても前立腺癌が進行してしまった状態)で、骨転移を有している患者さんに対して、ラジウム223を用いて骨転移部の治療を行っています。
A ラジウム223を注射すると、骨転移部位にラジウム223が集まって、α線を放出することで骨転移部の治療を行います。
7. 間質性膀胱炎
@ 尿がたまると下腹部が痛い、不快感がある、恥骨が痛い、足や頭に抜けるような不快感がある。 知らず知らずに早めに排尿するようになって頻尿を自覚する疾患です。
A 膀胱水圧拡張術で積極的に治療を行っています。
B 当院は2010年から膀胱水圧拡張術を保険で行うことのできる施設に認定されています。
8. 精索静脈瘤
@ 陰嚢の疼痛や不妊症の一因です
A 主に疼痛を訴える患者さんを中心に、顕微鏡下に低位精索静脈瘤結紮術を行っています。
B 1泊〜2泊程度の入院です。
(文責:村木 修、2018年11月1日)