公立相馬総合病院 泌尿器科紹介

当院は、1970年10月1日、現在の地に、相馬市と新地町の組合による、公立相馬病院として4科120床で診療開始。その後徐々に診療科が増え、1988年8月1日から公立相馬総合病院と名称変更、現在20科目を標榜し、198床の一般病床と外来を、19名の常勤医師と、東北大・福島医大などからの非常勤医師との協力で担っています。

泌尿器科は、1977年に開設され福島医大泌尿器科から熊佳伸(1973卒)が赴任。1980年から人工透析開始、1984年より福島医大医局から後期研修を定期的継続的に派遣し2名体制に、更に2002年に馬目雅彦(1991卒)が赴任し、後期研修医と合わせ3名体制で、泌尿器科一般診療と人工透析(血液・腹膜)管理を行なっていました。

2018年度は、1名の常勤体制となり、非常勤医師の外来支援・手術応援および週末の泌尿器科オンコール当番派遣などで、何とかやり繰りしています。

2017年度の診療実績は、平均入院患者数15名/日 外来72名/日、でした。現在、周術期管理が困難であることから全身麻酔下の手術(ラパロ、ロボット、開腹、上部尿路結石内視鏡手術、HoLEPなど)は、大学やhigh volume centerなどに依頼し、主に、脊椎麻酔や局所麻酔で対応可能な手術を行っております。2017年の主な手術件数は、TUL 34件、TUL-B 12件、TUR-BT 35件、TUR-P7件、HoLEP5件、ESWL21件、内シャント作成14件、内シャントVAIVT45件、前立腺生検215件などでした(生検は福島医大泌尿器科関連施設で最多件数でした)。また進行癌に対する外来化学療法・免疫療法として、ドセタキセル、カバジタキセル、ペムブロリズマブなども適応に応じて行っています。人工透析関連としては、血液透析は常時45名前後、当地域で唯一診療している腹膜透析も10名前後を診ております。

3.11の東日本大震災と原発事故以降、浜通りの相双地域の医療体制が著しく変化し、当院がこの相双地域における泌尿器科として入院・手術対応可能な唯一の病院となっており、帰宅困難地域からの避難・移住者や、南相馬市からの入院紹介など、震災前に比べ当院で対応しなければならない患者が著しく増加しています。また宮城県南の山元・亘理・丸森の3町も、泌尿器科医がいない上に仙台などに比べ当院の利便性が良いことから、当院泌尿器科の診療圏となっており、現在当院泌尿器科でカバーしている診療エリアは、相双地域と宮城県南3町を併せると、面積にして、いわき市と同程度(神奈川県面積の半分強)であり、常勤医の負担と地域患者の不便さが、一層増している状況です。

腎不全透析診療についても、この地域の医師・スタッフ不足から透析ベッドが増やせず、地域外に維持透析を依頼するケースが続いており、患者・家族の負担となっています。

現在の当院院長に、この状況を打開すべく、当院の透析診療体制の見直しを図るよう提言し、院長のもとで改革が進められることになっております。

(記、馬目雅彦)