女性泌尿器科医からのメッセージ@
中野路子医師 (平成8年卒)に聞く
インタビュアー:小川総一郎 (平成15年卒)
- 今回は、泌尿器科専門医・指導医である中野路子先生を訪ねて、福島県塙町にある塙厚生病院へやって参りました。中野先生、こんにちは。宜しくお願いします。
- 小川先生、久し振り〜。最近も海外旅行に行ってるの?
- 年に一回は行ってますよ。中野先生、今日は僕の話ではなく、先生へのインタビューですからね。早速ですが、先生は石川県ご出身で福島県立医科大学ご出身ですよね。なぜ卒業後、地元に戻らなかったんですか。
- 今は泌尿器科医をしていますが、実は卒後1年目は実家近くの国立金沢病院(現・金沢医療センター)で研修をしていたんです。今で言うスーパーローテートに当たるのでしょうか。当時はダイレクト入局の時代でしたから、市中病院での研修を選択したということでかなり珍しがられましたよ。ただ自分の中では、将来の専門科を産婦人科にしようか、それとも泌尿器科にしようかで迷っていました。その病院は産婦人科が有名だったことと、地元の大学医局に入るということも考えていたため、金沢に戻って研修をしました。
- さすが中野先生。剣道部で鍛えた思い切りの良さで、人とは違う道を選んだ訳ですね。泌尿器科に決めた理由は何ですか。
- よくぞ聞いてくれました。それは、子供からお年寄りまで、男も女も、クスリによる治療だけではなく手術もやりますよ〜、というところが決め手でした。最後まで産婦人科と悩みましたが、「女だけ」というのが私にはどうもダメでした。
- 先生のおっしゃる泌尿器科の良さは私の同感です。でも、地元で研修したのに、再び福島に戻って母校の医局に入った理由を教えて下さい。
- 母校ということでタテ・ヨコのつながりがあったことですね。そのため、今でも、どこの病院に行っても知り合いがいるので働きやすいです。
- 確かにつながりがあると強いですよね。でも他大学出身でつながりがなくても福島医大なら大丈夫だと思いますよ。東北人は穏やかで優しい人が多いから。現に、うちの泌尿器科には他大学卒業の先生も数名いて、バリバリやってますよね。
- ええ、他大学卒業でも差別は全くありません。私と泌尿器科入局が同期のY先生も富山大学出身ですが、医局にとても馴染んでますね。
- しかし先生、泌尿器科というと男性医師が圧倒的に多いですが、入局に躊躇しませんでしたか。
- 福島医大泌尿器科では私が初の女性入局者でしたが、もともと医学部、剣道部と女性が少ない道を通ってきたためか、それほど抵抗感はありませんでした。むしろ、初めて女性が入ってきて周囲が戸惑っていたかも知れませんね。もちろん、女子高−茶道部というバリバリの女子生活を送ってきた方でも、心配は要らないでしょう。
- 女性医師として働いていて、働きづらいと感じたことはありますか。
- 気になったことは大してありませんが、子供がいる女性医師でも働きやすい環境作りは大切だと思います。もちろん小島教授はその点もご理解下さっていますから、安心していいと思いますよ。
- 女性だと体力的にはどうですか。
- 生理中はキツイと思うことがありますが、性別よりも、むしろ年齢ではないかと思います。でも、年齢による体力の衰えをカバーすべく、自分なりの努力はしていますよ。それがプロというものでしょう。小川先生はどうですか。昔よりきつくなってきていませんか。
- 私のことはさて置いて、泌尿器科の診療をする上で、女性医師の方が向いているな、と感じる点はありますか。
- もちろんありますよ。貫禄のある男性医師よりは、患者さんから何でも気軽に話してもらっているような気がします。だから外来がなかなか終わりませんが。
- 泌尿器科医、あるいは医師として、今最も興味のある分野があったら教えて下さい。
- 産業医の資格も持っていますが、メンタルヘルスに興味があり、研修に通っています。また東洋医学(漢方)は学会のほか、数年前からこれも研修講座に通っています。他にターミナル(緩和ケア)や在宅医療ですね。
- 先生の向学心、努力には頭が下がります。では最後に、泌尿器科専攻を考えている女性(医学生、研修医)にメッセージをお願いします。
- 今はどの科も女性が増えており、以前よりは環境が整い、働きやすくなっていると思います。面白いなぁ〜、やってみようかなーと思っている方は、是非、一度飛び込んでは如何でしょうか(^^)v。一緒に働ける日を楽しみにしていますよ。
- 中野先生、今日は時間を割いて下さってありがとうございました。地元から遠く離れた地で働いている女性医師、ということで、今回のインタビューは、泌尿器科医を目指す女性に勇気を与えてくれることと思います。先生の益々のご活躍をお祈り申し上げます。
- ありがとう。気を付けて帰ってね〜。