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随想録

臨床泌尿器科編集後記Vol.70.No.10, 2016

 先日、岩手医科大学泌尿器科学講座の開講50周年記念祝賀会に参加しました。久保隆元教授、藤岡知昭前教授(本誌編集顧問)、小原航現教授が勢ぞろいされ、祝賀会では150人を超える参加者で大盛況でした。岩手医科大学の伝統を窺い知ることができました。

 日本泌尿器科学会のホームページによると、1912(明治45)年に日本泌尿器科学会の前身である日本泌尿器病学会が設立され、第1回総会を開催したとあります。また、1929(昭和4)年の第18回日本泌尿器科学会総会から日本皮膚科学会と提携して共同で開催した後、1956(昭和31)年の第44回日本泌尿器科学会総会から独自開催するようになったとのことです。皮膚泌尿器科からの分離・独立も、数多の先人偉人達のご苦労があったのだということは容易に想像できます。ちなみに、東京慈恵会医科大学、九州大学、慶應義塾大学、東京大学など、皮膚泌尿器科学講座から分離・独立してから約80年の歴史を誇る大学もあるようですが、福島県立医科大学は、1968(昭和43)年3月、わが国で最後に分離・独立しました。私が生まれる半年前のことです。

 さて、2017年度より開始される予定であった日本専門医機構による新専門医制度は、19の基本領域と29のサブスペシャリティ領域から構成されています。医学や医療の高度化・複雑化に伴い、特に内科や外科が細分化され、ますます医療のサブスペシャリティ化が加速しています。本学でも新専門医制度に伴い、内科や外科の講座が臓器別になり、かつての皮膚泌尿器科が分離したように、再編されつつあります。これまで、全く異種分野の医師が同じ教室にいた旧講座制から考えると、非常にすっきりしてわかりやすいと個人的には感じています。内科や外科が細分化されつつある今、治療対象となる臓器の数なら泌尿器科は負けていません。副腎・腎臓・尿管・膀胱・尿道・前立腺・精巣・陰茎。医学生や初期研修医に泌尿器科の特徴を説明するときに、治療対象となる臓器が最も多い科であること、小児から高齢者そして良性疾患から悪性疾患まで幅広く診ることができることを力説しています。その一方で、泌尿器科自体も、医学の進歩に伴い多様化・複雑化が進み、すべてのサブスペシャリティ領域をひとりの泌尿器科医が網羅することは不可能な時代となりつつあります。もしかして、泌尿器科もいつか臓器別に細分化するなんて日がくるのかもしれません。

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