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臨床泌尿器科編集後記vol.72.No.9, 2018

「ブラックペアン」「ドクターX」「コウノドリ」「コードブルー」「グッド・ドクター」。最近医療ドラマがテレビで頻繁に放映され、視聴率もまずまず良好なようです。テレビを見ると、非現実的なシーンやセリフが多く、一般の方々がこれら非現実を信じてしまうのではないかと心配になることもあります。その一方で、医学生や研修医が、ドラマの登場人物を見て憧れを抱き、将来の進路に少なからず影響することもあるかもしれません。実際に私も20数年前の学生時代に、ある医療ドラマをみて現実など知る由もなく、主人公のようなかっこいい外科医になりたいと不覚にも思ってしまいました。

昨年、本学医学部4年生の泌尿器科進級試験の最後に、学生に講義の感想を自由に書いてもらいました。ある学生から、「最先端に携われるのは楽しそうだし、もっとアピールして泌尿器科の株を上げれば、“泌尿器はちょっと。。。”というような扱いはなくなると思う。有名俳優とかにドラマ化してもらえばいいと思う」という珍回答があり、試験の採点をしながら大爆笑してしまいました。ちなみに、冒頭の医療ドラマの主人公は、それぞれ心臓外科医、外科医、産婦人科医、救急医、小児外科医です。

さて、8月開催されたJUA Future Visionで、「若手医師・研修医に対する広報活動のあり方」の班長を務めさせていただきました。班員の先生方と話し合い、研修医にアンケート調査をすることになりました。その中で、「泌尿器科に興味をもったきっかけは何ですか?」という質問に対して、「ロボット支援手術に興味があったから」と答えた後期研修医がなんと53.8%にも上りました。ご承知の通り、本年4月から、ロボット支援手術の保険適用拡大となったことにより、ロボット支援手術が泌尿器科医の「専売特許」ではなくなりました。Future Visionでは、将来の課題として「ロボット支援手術における優位性がなくなるため、学会として危機感をもつ必要がある。」と締めくくりましたが、若い泌尿器科医のさらなる獲得向上のための決定打となるような具体的な方策は導くことはできませんでした。しかし少なくても、非現実的なドラマに頼ることなく、よりよいそして独創性と新規性に満ち溢れた診療・研究・教育を模索し続けることが、泌尿器科のさらなる魅力向上への近道だと、医療ドラマを見ながらつくづく感じる今日この頃です。

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