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随想録

臨床泌尿器科編集後記 vol.74. No7 ,2020

新型コロナウイルス騒ぎで、学生の講義にも大きな影響を及ぼしています。本学でも、4月からオンライン講義となりました。私自身、4月に連続3コマの泌尿器科の講義を担当しましたが、目の前に聴衆がいない講義はとても難しいものです。直に相手の顔が見えないので、相手の表情を伺いながら講義ができず、学生の反応がわかりません。通常なら講義に興味を惹かせるために、様々なネタを仕込んで笑いをとる努力をするのですが、ウケているかどうかわからないオンライン講義では、そんなネタさえ披露できません。

厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症専門家会議からの提言を踏まえ、今後日常生活の中で取り入れるべき「新しい生活様式」を公表しました。その実践例は、@一人ひとりの基本的感染対策、A日常生活での基本的生活様式、B日常各場面別の生活様式、C働き方の新しいスタイル、の4つの大項目に分けて具体的に示されています。特にC働き方の新しいスタイルでは、テレワークやローテーション勤務、会議や名刺交換はオンラインで行うなど、SNSを活用した効率的な労働体系を推奨しています。確かに今回の騒ぎで、「不要不急」の会議が多いということが浮き彫りになったことは否めません。一方、先日オンライン会議を経験しましたが、微妙な空気感が読めないため、本質的な意見交換ができなかったような気がします。

現代社会では、SNSの急激な進歩に伴い、社会生活に大変革をもたらしました。その一方で、人と人とのコミュニケーション、「濃厚接触」が希薄になりつつあります。絵文字を使ったラインの交換、SNSよる無責任な意見の発信や匿名の誹謗中傷もその一例とも言えます。戦国時代では、武将が戦の場で「やあやあ!我こそは△△の〇〇なり!」と名乗ってから相手に切りかかったと言われています。これは極端な話でしょうが、今日のSNSの普及とともに、適切なコミュニケーションのみならず、本来日本人が兼ね備えていた美徳や誇りや潔ささえも失われているような気がしてなりません。

さて3コマのオンライン講義が終わると、140人の学生が一斉にログアウトしていきました。そんな中一人の学生が、「ありがとうございました」とチャットを使ってメッセージを送ってくれました。そんな些細な一言は、私を勇気づけてくれます。現代社会においても、SNSを通した「新しいコミュニケーション様式」を模索しながら、人間関係を豊かにしていく必要があることには変わりはありません。

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