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疾患のご説明

腎移植

1) 腎不全の治療について

腎臓は体内の老廃物を排出させる機能、造血ホルモン分泌、ビタミンD活性、血圧調整機能など人間にとって様々な重要な機能を担う臓器です。これら(特に老廃物を排出させる機能)が働かなくなった状態を腎機能不全といい、これらの機能を補うための治療が必要となります。

治療の種類としては、内服療法、透析療法(血液透析、腹膜透析)、腎移植などが挙げられます。これら治療法の中で最も効果が高いとされるのが、腎移植であると言われています。

 

2) 腎移植の利点・欠点など

腎移植は他人の腎臓を移植することで働かなくなった腎臓の代わりとする治療法です。移植した腎臓がうまく働いてくれれば、透析療法からの離脱でき、健康な方とほぼ同様の生活を送ることができるようになります。ただし、他人の腎臓を自分の体に合わせる必要があるため、免疫抑制療法を継続して行う必要があります。その際には、免疫力が低下しますので感染症や悪性疾患などの発生に十分な注意が必要です。また、もともとの腎臓の腎炎が移植腎に発生することもあり、こちらも注意が必要となります。

 

3) 腎移植の種類・準備など

当科では、亡くなった方からの善意による腎提供により行われる献腎移植(心停止下、脳死下)と、ご家族からの腎提供による生体腎移植(血液型適合、血液型不適合)に対応しています。献腎移植においては、ドナー情報が発生した時点で腎移植希望登録された方の中から、ドナー腎に適合する方が選ばれます。レシピエント候補の方には即日入院していただき、全身検索の上、移植を行うにあたり医学的に問題を認めない時には、ドナー腎が届き次第手術を行います。生体腎移植では、手術の前にドナー候補の方とレシピエント候補の方の両方の全身検査を行います。具体的にはドナーの方は消化管検査・感染症検査・腎機能検査・CT検査などで悪性疾患や移植において不都合となる事柄の有無の検索などを行います。レシピエントの方は上記に加えて、心機能検査などが行われます。諸検査の結果、移植に問題なしとされれば移植手術を行うこととなります。

 

4) 腎移植手術について

生体腎移植では、まずドナーの腎摘出(片方のみ、多くは左側)が行われます。当科では、ドナーの負担軽減のため、体腔鏡を用いてより小さな傷で手術を行っています(図1)。献腎移植では、2つある腎臓が摘出され、レシピエント候補のいる施設へ運ばれます。ドナーの手術の間にレシピエントの準備が進められます。移植した腎臓を納めるスペースの確保や移植腎に繋ぐべき血管の確保などが行われます。摘出された腎臓は、すぐに臓器保護液による還流などの処置を施し、レシピエントに移植されます。移植腎はレシピエントの骨盤内の血管と繋ぎ、血流再開後に初尿を確認し、膀胱に尿管を繋ぎます(図2)。手術後は複数の管が留置されます(図3)。

 

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5) 手術後について

腎移植後は全身状態や尿量の管理を厳重に行います。手術直後より点滴での免疫抑制療法を開始します。免疫抑制剤は複数を組み合わせて使用します。献腎移植では、初尿が無いことが多く、尿が出てくるようになるまで透析療法を続けることもあります。手術後に留置された管類は経過とともに取り外していきます。水分や食事が摂取できるようになった段階で免疫抑制剤の投与が点滴から内服に切り替わります。免疫抑制剤は体内の血中濃度を測定しながら、適切な量に適宜変更していきます。状態が安定していれば、術後約1ヶ月での退院となります。退院後は、移植外来に定期的に通院していただき、経過を診ていきます。必要に応じて、移植腎の組織検査(生検)を行うこともあります。

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