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疾患のご説明

尿路結石症

はじめに

尿路結石症は近年増加傾向にあり、日本人では男性の7人に1人、女性の15人に1人が生涯のうちに1度はこの病気を経験すると言われています。尿路結石には、結石の位置により、上部尿路結石(腎結石、尿管結石)、下部尿路結石(膀胱結石、尿道結石)に分類されます。また、結石の成分にはシュウ酸カルシウム結石、リン酸カルシウム結石、リン酸マグネシウムアンモニウム結石、カーボネートアパタイト、尿酸結石、シスチン結石などがあり、上部尿路結石の90%以上はカルシウムを含む結石です。

 

症状

腎結石では、腰背部の鈍痛程度で無症状のことも多いですが、結石が尿管に下降して尿路を閉塞すると強い痛みが腰背部、側腹部、下腹部に生じます。結石の位置によっては、鼠径部や陰嚢部に痛みが放散することもあり、また、頻尿や残尿感などの症状が出現することがあります。痛みに伴い、嘔気、嘔吐、冷汗などの症状を認めることがあります。
結石による粘膜の刺激によって、肉眼的血尿を自覚する場合もあります。

 

検査

  1. 尿検査:血尿や尿路感染の有無を確認します。
  2. 超音波検査(エコー):腎結石、膀胱結石、水腎症の有無を確認します。
  3. 単純レントゲン検査(KUB):大部分のカルシウム結石はレントゲンで写りますが、小さい結石や腸管のガスが存在する場合には分かりにくいことがあります。また、レントゲンで写りにくい結石(尿酸結石、シスチン結石)もあります。
  4. 排泄性尿路造影:単純レントゲン検査で分からない結石の場合には造影剤を使用して腎臓、尿管の尿の流れを確認して結石を確認します。腎障害や造影剤アレルギーがある場合には行えない場合があります。
  5. CT:単純X線で写らない結石、水腎症の存在も確認可能です。単純X線、排泄性尿路造影よりも診断率は優れておりますが、被曝量が多くなります。

 

治療

  1. 保存的治療:痛みに対しては非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)の坐薬を使用します。喘息、高度の腎障害、低血圧の方には原則として使用しません。非麻薬性鎮痛薬(ペンタゾシン等)の筋肉注射、静脈注射鎮痙剤(ブスコパン)の筋肉注射・静脈注射を行うこともあります。5mm未満の小さな結石は6割以上が飲水や投薬によって自然に体外に排出されます。10o未満でも約半数は自然排石が期待できます。
  2. 体外衝撃波砕石術(ESWL):体外から衝撃波を当てて結石を破砕する治療です。麻酔が不要で、鎮痛剤の使用のみで行えるため排石が困難な場合には第一選択となります。通常は外来で行われますが、結石の大きさや感染を伴っていた場合には入院で行うこともあります。
    ※当科にはESWLの装置がありませんので、ESWLの適応と考えられる場合には、関連病院に紹介しております。
  3. 経尿道的砕石術(TUL):経尿道的に内視鏡を挿入します。結石を確認し、砕石装置で結石を小さく破砕し体外に摘出します。麻酔下で行う必要があるため入院が必要となります。ESWLでは破砕困難な尿管・腎結石及び膀胱結石が対象となります。
  4. 経皮的腎砕石術(PNL):背中から直接腎臓に細い内視鏡を通し、砕石装置で結石を小さく破砕し摘出します。大きな腎結石(いわゆる珊瑚状結石など)ではESWLと組み合わせて治療する場合もあります。
  5. 開腹手術:開腹して直接結石を摘出する方法です。上記の治療法が発達したため、現在はほとんど行われていません。

 

緊急処置

通常、腎臓は左右2つ存在し、尿路結石によって片方の腎臓が閉塞しても極端な腎機能低下を引き起こすことはありません。ただし、腎臓が1つしかない場合や、重症の感染症を合併した場合には生命に関わるケースもあります。感染のコントロールと腎機能の保持を目的とし、尿路を確保するために尿管ステントの留置や経皮的腎瘻造設術が緊急で必要となる場合があります。

 

再発予防

尿路結石は再発率の高い疾患で、カルシウム結石の再発率は30-40%になります。治療後の再発予防、定期検査も重要です。

  1. 飲水指導:1日の尿量を2000ml以上とするために、食事以外に1日2000ml以上の水分の摂取をお勧めします。水分補給源としては水道水やシュウ酸の含有量が少ない茶類(麦茶、ほうじ茶など)が適しています。
  2. 食事指導:偏食、過食を避けバランスのとれた食事を心がけるようにします。清涼飲料水、コーヒー、アルコールなどを過度に摂取しないことも重要です。
  3. 薬物療法:結石の成分によっては薬剤で再発を予防できる場合もあります。
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