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研究のテーマ

Oncology Research Group(オンコロジー・リサーチグループ)

 

膀胱がんと細胞老化の関連

細胞老化とは、年齢を重ねたり、さまざまなストレスを受けたりすることで、細胞が分裂しなくなり、その働きが変化してしまう状態のことです。こうした老化した細胞は体のいろいろな場所に少しずつたまり、がんをはじめとするさまざまな病気に関係していることが分かってきています。最近では、この老化した細胞を取り除くことが、新しい治療につながる可能性があると注目されています。膀胱がんは年齢とともに発症しやすくなり、病気の進み方にも影響します。そのため私たちは、「年齢による体の変化(細胞の老化)が、どのように膀胱がんの進行に関わっているのか」を明らかにすることで、新しい治療法の開発につながるのではないかと考えました。今回私たちは、膀胱がんマウスや人の研究から、膀胱がんの中には「年をとって働きが変わった細胞(老化した細胞)」が存在することが分かりました。これらの細胞は、CXCL12という物質を出し、その影響でがん細胞の増殖を助けてしまうことが明らかになりました。つまり、細胞の老化が、膀胱がんの成長を後押しする仕組みの一つであることが分かりました。

今回の研究では、これまで詳しく分かっていなかった「高齢のマウスの膀胱の中にある老化した細胞が、どのような働きをしているのか」を、細胞一つひとつのレベルで世界で初めて明らかにしました。また、遺伝子を使った特別な方法だけでなく、すでに使われている薬(老化細胞を減らす薬や、CXCL12の働きを抑える薬)でも、膀胱がんの進行を抑えられることを確認しました。さらに、人の膀胱がんのデータを解析したところ、膀胱がん内部の老化した細胞の量は、患者さんの年齢や予後(病気の経過)と関係していることが分かりました。その影響の大きさは、従来の進行度の指標と同じくらい重要である可能性が示されました。

膀胱がんはしばしば化学療法が効きづらく、また手術以外の他の治療薬(免疫療法など)も全ての膀胱癌がんに効くわけではありません。その現状において本研究は、膀胱がんに対する新たな治療戦略として、老化細胞やその分泌されるたんぱく質を標的とする治療が有効である可能性を示しました。

(Meguro S, Kojima Y, Nakanishi M, et al. Preexisting senescent fibroblasts in the aged bladder create a tumor-permissive niche through CXCL12 secretion. Nature Aging. 2024 Nov;4(11):1582-1597.)

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