HOME > 受賞報告

研究・学会活動

受賞報告

AUA 2015 Best of Posters賞を受賞して

石橋 啓

この度ニューオーリンズで開催されました、AUA annual meeting 2015におきまして、私が発表した演題、“IL-6 receptor antibody enhances the effect of TKI against renal cell carcinoma”がBest of Posters賞を受賞致しましたのでご報告致します。

本研究の遂行に当たっては、当教室の小島教授はじめ医局の先生方、平木さん、渡辺さん(えっちゃん)、先端臨床研究センターの久保均先生、そして共同研究者のUniversity medical center of Johannes Gutenberg University MainzのTobi、Thüroff教授そしてBrenner教授に多大なるご助力をいただきました。心より感謝致します。

本研究はTKIにより腎癌から分泌されるIL-6の役割を重視し、IL-6受容体抗体をTKIと同時投与する事でTKIの効果を上げることが出来るのではないかと考え始めたものです。そしてin vitro、in vivo双方においてIL-6シグナル抑制がTKIの癌細胞抑制効果を上げ、さらに血管新生による再潅流を抑制する事を示しました。IL-6受容体抗体はリウマチなど慢性炎症性疾患に実際に使用されており、今後臨床応用も可能ではないかと考えております。

このIL-6関連の研究は、さかのぼれば、以前当教室に在籍していた小黒先生の学位論文の指導の時にはじめたのがスタートで、かれこれ6〜7年前にはじめたテーマかと思います。小黒先生の時はIFNとの併用療法ということで研究結果はEur J Cancerに掲載されました。そこから少しずつデーターを積み重ね、TKIとの結果を加え、泌尿器科総会やAUAにて発表してまいりましたが、まさか今年AUAで自分が賞を取れるとは思っておりませんでしたので、受賞の知らせを聞いたときは非常にうれしかったです。また、AUAの最終日のAUA high light で、本研究が紹介されましたのも大変励みになりました。

今後は研究内容を深め、いつか実際に臨床に役に立つような研究を進めていきたいと思います。この度は本当にありがとうございました。

 

 
     
 

 

 

 

 

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と、一応はまじめに書いた文章なのですが・・・その続きです。

 

先ほど本文に「まさかAUAで賞を取れるとは思っておりませんでしたので」なんて書きましたが、そんな事言っておいて論文がNatureとかScienceとかに載っていたりしたら、「ふざけんな!」って感じでしょう。

芸能人だって、○○大賞とか、なんとか賞とか取ったとき、「まさか取れると思わなかったのでびっくりです」とか感想言っているとき、「絶対うそやろ!」って突っ込みたくなる時もあるわけです。

でも、今回のBest of Posters受賞に当たっては、ホントの本当に「まさか取れるとは思っておりませんでした」でした。

 

その理由は、私のプレゼンがかなり悲惨に“ぐだぐだ”だったからです。

 

もう最初から油断していたというか、受付の時もらったあの重いプログラムには書いてあったのですが、私はスマホに入れたAUAのアプリで何でも見れるからこれでいいやと思ってプログラムの方は全然見ないでいました・・・っていうか、ホテルにおきっぱなしでした。

私の演題番号は4番だったのですが、ここで3番の人のポスター貼る場所が、私の場所とかなり離れていたってのがケチの付けはじめでして、私、3番の人が演題取り下げていたのに全然気がつかなかったのですね〜。プログラムには書いてあったんですが。

なので壇上での発表が始まって、2番の人がプレゼンしているときも、まだ余裕かましておりました。そしてもちろん2番の次は4番。

私の名前が呼ばれたその時に初めて3番が取り下げたって事がわかった次第でして・・・。

「え?何で?おれ?」と動揺しつつも発表原稿を持ち、すぐ席を立って壇上に走って行ったのでした。壇上に着いたとき、既に動揺を隠しきれず。

そしてぱっと目をやると、あれ?無いぞ。キーボードが無い!いや、ぽつんと1つ、十字ボタンみたいなのがついたマウスが置いてある。これを使うのか?ってボタンは十字ボタンだけでなく真ん中にも1つボタンが。

ど、どれだ??始まるにはどれを押すんだ?実は台に説明の紙が貼ってあったのだけれど、なんと自分の発表原稿をその上に無意識に置いてしまったらしく気づけなかった。

もうこうなったら「勘」だな。まあ、下って事は無いだろう。上か、右か、真ん中のうちのどれかだ。えいっ!と押したボタン・・・。

正解!スライドが始まる。何とかなるかも。

動揺をなるべく見せないように原稿を読み始める。最初のスライドには一応アニメーションが5〜6回設定されているので、原稿進めながら、ここだっ、と言うときにボタンを押す・・・はずだった・・・!

 

あれ?さっき俺、どのボタン押したんだっけ?あ〜・・・やばい、忘れたわ。でも今は原稿を読み進めている途中なので考える時間もなく、えいっと押したら・・・。

 

き、消えた・・・。

 

スライドが消えちゃった。

まずい。ボタンを間違えた。

これか?いやこれか?とボタンを立て続けに押したらスライドがまた始まったのはいいが、ボタンを何度か押してしまったので、アニメが勝手に進んでしまう事態に・・・。

しまった、今、原稿のどこの部分のアニメが動いたんだ?と思いつつも、画面を見る余裕全くなし。

 

だってこの間にも私は原稿を読んで、しゃべっている途中なのですから。

 

でも、何とか前に戻さないと。

もう自棄、って適当にボタンを押す。

ちらっと横目でスライド見たら、案の定、全く自分が読んでいるところと全然違うアニメーションが流れている・・・。

ああ、もうダメじゃ。しゃ〜ないわ。

と思い原稿を最後まで進める。

っとこの間、約2分。

長い長い2分でした。

発表が終わり、座長から質問。

これは想定内の質問なのに、嗚呼・・・。

Infectionって答えるところInflammationって言っちゃった・・・。単語似てるし、意味だってちょっと似てるし。でも答えとしては違うよな。
言ってしまってからやばいと思ったけど、時既に遅し。

しかし、結局、座長が、意をくんでくれて、言い直してくれた。

ありがとう、座長。名前知らんけど・・・。

憔悴しきって、席に戻る。一緒にAUAに来た赤井畑先生に

「おれの発表、ぐだぐだだったよね?」と言ったところ

 

「そうですね!」

 

という、明るい直球が胸に突き刺さる。

だよな、そうだよな。ぐだぐだだよな、と意気消沈。

それでも負け惜しみが言いたくなる往生際の悪さ。

「いや〜ほら、赤井畑先生が一昨日発表したとき、壇上にPCがあるって教えてくれたじゃん。だからてっきりキーボードでスライド進めるのかと思ってたんだよ〜〜。」
と言うと。

「ああ、でもPCはあるって言いましたが、キーボードがあるとは言ってなかったはずですよ」
とばっさり。

そうだよ、赤井畑君、その通り。責めてる分けじゃないんだよ、君は何も悪くないし、事前に確認しなかった俺が、確かに悪い。

万人がPCを簡単に使えるように、マウスのボタンを一個にしたアップルのスティーブジョブスはやっぱり偉大だったんだな〜とかぼんやり考える。

完全に打ちのめされた私は、もはや他の人の発表なんてどこか遠くでしゃべってるようにしか聞こえない・・・。

 

ぼ〜〜ッとして、無駄にAUAの貴重な時間が過ぎていく。

 

そんなだから、最後に、座長が

「Best of Posters is abstract No. 4.」

って聞こえたときは、えっ?「4」って言った?マジですか?座長。名前知らんけど。ホントにいいのですかそれで?!

って本気で思ったのでした。

なので、「まさか自分が賞を取れるとは思っておりませんでした」って書いたのは、謙遜でも何でもなく、

本当です。

このことから何か学んだことがあるとするならば・・・

「プレゼンは失敗しても大丈夫」

ってことか。

 

長々とすみませんでした。

 

 

 

こんな感じでした・・・。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

ページの先頭へ