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研究・学会活動

受賞報告

福島医学会賞を受賞して 

石橋 啓

このたび私の「腎癌における薬剤耐性機序の解明」という研究テーマに、栄えある平成29年度福島医学会賞を授与していただきました。福島医学会関係者の皆様、泌尿器科学講座の小島教授はじめ医局員の皆様、微生物学教室の錫谷教授はじめスタッフの皆様、先端臨床研究センターの久保教授に心より感謝申し上げたいと思います。
この表彰を授与されるに当っては、身に余る栄誉であるだけでなく、私の約15年間の研究生活を振り返る良い機会となりました。

 私の研究は、まず腎移植のサイトメガロウイルス感染の研究からスタートしました。この研究を開始する際に、微生物学教室の錫谷教授からウイルス学、分子生物学の手ほどきを受けました。このとき学んだことが後々まで役に立つ財産となりました。

ウイルス学を勉強している間、RSウイルスの研究をしていた橋本浩一先生(小児科・エコチルセンター長)とは良くディスカッションし、大いに刺激を受けました。彼とのディスカッションの中で、腎癌のサイトカイン療法の研究テーマが思い浮かび、そのときの予備実験が思いの外うまくいき、当時の大学院生の学位論文とすることができました。

その後、泌尿器科に小島教授が着任し、オンコロジーリサーチグループが立ち上げられました。私の他3人を加えた4人程度で始まったオンコロジーの研究でしたが、皆熱心に癌研究に打ち込み、それぞれが国際学会で発表するなり、学位を取るなりし、また、各人のテーマでの論文を完成させることができました。そしてこのときに、腎癌におけるインターフェロン耐性機序の一端を明らかとして報告いたしました。グループの皆と、ディスカッションし、実験を考え、論文を作成する日々は非常に楽しいものでした。研究はその後も継続して行い、当時腎癌で主に用いられていた分子標的薬の耐性化にも、腎癌から分泌されるサイトカインが関与している事を見いだしました。これはある意味偶然の結果だったのですが、幸運にも良い結果が出て、論文化することができました。欧州の学会で発表したときは、座長の教授から、「どうやってこの事を見つけたんだ?」と聞かれ、熱いディスカッションになったことは今でも非常に良き思い出です。現在も、若い大学院生らが精力的に研究を継続しております。良い研究結果が出ることを非常に楽しみにしているところです。

このように振り返ってみると、このたびの受賞はけっして自分だけの成果では無く、これまで自分を指導していただいた先生方と、自分を支えてくれた同僚の皆様のお蔭であると思います。今後も、多くの人たちとの絆を大切にしていきたいと思います。

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