HOME > 泌尿器科医の1週間

初期研修医の皆さまへ

泌尿器科医の1週間

専門医 O先生
月曜日

本日は出張の日でした。小生の自宅から出張先の病院まで1時間30分程かかるため、普段より少し早めに自宅を出発します。病院には8時50分頃に到着し、泌尿器科外来に向かいます。9時から診療開始となりますが、看護師さんから『今日は患者さんが多いですよ』と前情報を頂き、9時より少し早めに診療を開始し約50名の患者さんを1時30分頃まで診察しました。昼食にレバニラ炒め定食をいただき、力をつけました。午後は主に、検査や他の科に入院中の患者さんを診察し、業務を終えました。小生を待っているかわいいマウスたちのことが頭から離れなかったので、急いで大学に戻りました。大学の月曜日は教授回診とカンファランスがあります。教授回診のために患者さんの経過を把握し直したり、プレゼンテーションの準備をすることはとても大切です。そして何より、教授からのアドバイスやコメントはとても勉強になります。教授回診は、医療者側だけでなく患者さんにも安心感を与えるものだと思っています。教授に質問された項目は、今夜、英語の文献で調べることにします。カンファランスでは、手術予定の患者さん、新入院の患者さんの経過や治療方針を提示し、皆で議論します。質問事項には、どうして自分たちでそう考えているのかをエビデンスを交えながら説明します。こういった議論を重ねていくとにより、医学的根拠に基づいた思考力が養われていきますので、とても大切なことです。大学ならではの経験です。術前カンファランスが終了した所で、研究をご指導いただいているI先生と動物実験室へ行き、マウスに注射を行いました。帰室後、メールのチェックをしてから近日行われる発表のためのスライド作りをして帰宅しました。

 

火曜日

大学業務の日です。8時30分に昨日の病棟・救急患者さんなどの申し送りを行う朝会に参加し、入院中の患者さんの状態を確認してから、外来へ。13時30分まで外来を行いました。昼食前に近日行われる学会に発表するための抄録を教授にチェック頂いたのですが、3度の訂正を受け自分に物足らない部分を再認識することが出来ました。抄録を作成した後、かわいいマウスたちに実験動物室で愛を込めてマウスに注射をしに行きます。その後、作成した学会の抄録をインターネットで提出しました。その後、小生の医局の後ろの席に陣取っていらっしゃるH先生と雑談。雑談とは言いながら、ところどころに大切な情報やメッセージが詰まっているので気は抜けません。おっと、気が付けば20時40分。そういえば今日は19時30分から実習をまわっている医学生の慰労会でした。遅ればせながら参加し、気持ちをリフレッシュさせました。

 

水曜日

出張のため、朝早めの外出。透析がメインの病院のため、泌尿器外来はそこそこに透析室に移動。約20名の患者様たちが血液透析を行っています。今までの状態・経過及び透析条件などをカルテで確認し、透析回診を行いました。回診が終わると他科の先生より膀胱留置カテーテルが挿入できないとコンサルトがあり、尿道ブジー・スタイレットを持って病棟へ。前立腺肥大症術後の患者さんで、尿道球部あたりに少し抵抗がありました。18Frブジーで狭窄の有無・尿道の形を確かめた後、スタイレットを用いてカテーテルを留置、意気揚々と外来に戻ってきました。昼食をとってから午後の透析回診へ。透析回診が終わると少し時間ができたため、大学で定期的に行われている抄読会(泌尿器科の疾患に関しての最新の知見や、実験結果などの英語論文を他の先生方に紹介する会)の準備に取り掛かりました。17時になり大学へ戻ります。大学に戻るとまずしなければいけないことは毎日の日課となっている愛すべきマウスたちへの注射をしに、I先生と実験動物室へ。医局に戻るとロボット手術のWeb講演会が行われていたため、それに参加しました。その後、入院中の患者さんの経過等をチェックし、帰宅しました。

 

木曜日

本日の業務内容は手術でした。1件目の手術は精巣腫瘍の後腹膜リンパ節転移に対する化学療法後のリンパ節廓清術(RPLND)を行いました。小生は第一助手として、術者のT先生、先輩のK先生にいろいろ教えてもらいながら、手術に参加しました。2件目は膀胱がんに対する経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)でした。同期のK先生が行われている手術を見学しました。福島県立医科大学では臨床研究のためNEDO プロジェクト(遺伝子発現解析技術を活用した個別がん医療の実現と抗がん剤開発の加速がコンセプトだそうです)なるものが行われていますが、K先生が経尿道的に切除した膀胱の組織の一部をTRセンターに提出しました。入院患者さんの一日の経過をカルテで確認した後、病棟回診を行いました。病棟から戻ってきたら毎日の日課である愛すべきマウスたちと対面をし、注射を行いました。本日は当直のため、福島県の皆様が健康であることを願いながら、床につこうと思います。

 

金曜日

本日は当直明けで、外来処置係でした。内容としては外来を受診された患者さんに抗がん剤・BCGの膀胱内注入療法や膀胱留置カテーテルの交換、膀胱鏡検査などを主に行います。昼食を食べようとしたら、手術(TURBT)が始まるとの事で昼食はお預けの状況で手術室に向かいます。昨日と同様に同期のK先生が執刀されていました。K先生の手術手技に感嘆し、昨日と同様に今後の医療に生かせるよう、がん遺伝子解析のため患者様からの組織を一部TRセンターへ提出しました。15時ごろに遅めの昼食を食べてから病棟回診を行いました。華の金曜日ですが、文献等の検索を行い、近日行われる発表のスライド作成を行いました。

 

土曜日

朝9時ごろに病棟回診を行い、指示出し等を行います。基本的に大学は週休2日制のため病棟回診が終了した所で、各々の都合に任されるのですが、小生は当直ですので、福島県の皆様が健康であることを祈りながらスライド作りに励みました。休日の当直は9時から翌日の9時までとなりますので24時間大学に籠りっきりとなりますが、市中病院とは異なり、泌尿器科疾患の救急外来患者さんもしくは入院中の患者さんの対応のみですのである程度個人の時間を持つことは可能です。

 

日曜日

病棟回診を行い、本日の業務は終了となります。

 

さいごに

大学での仕事としては市中病院とは異なり、臨床、研究を平行して行っていく必要があります。臨床面では福島県及び近隣の県からの紹介患者さんが大多数を占めるため、治療に難渋する患者さんも多く経験します。しかし、当科ではグループ制であるため、同グループの先生方と議論できますし、カンファランスに提示して相談することも可能ですので、evidenceに基づいた治療を提供出来ていると思います。研究に関しても月1回の割合でカンファランスを開催しています。自分の研究が行き詰った際には、他の先生方からのお知恵を拝借することも可能です。また、他の先生が行っている実験内容や最新の知見などを知ることも大学ならではのメリットと考えます。

ページの先頭へ