初期研修医の皆さまへ
留学先からの便り
羽賀宣博
この度、小島教授のご高配と教室員の皆様のご協力を頂き、2013年1月12日から1月18日まで、アメリカ合衆国ペンシルバニア州フィラデルフィアにある、ペンシルベニア大学医学大学院の関連施設である、フィラデルフィア小児病院(CHOP)ならびに、Penn Presbyterian Medical Centerに研修に行ってまいりました。ペンシルバニア大学は、アメリカで最初の医学部として1765年に設立され、また、医学大学院だけで、2007年度には5億5000万ドル以上の研究費が与えられており、これは研究費としては、全米第2位の額であるそうです。Presbyterian Medical Centerの泌尿器科チーフのDavid I. Lee 先生は、3500例以上のロボット支援下前立腺全摘術を施行されており(日本では到底考えられない数字です。)、また、フィラデルフィア小児病院は、全米第1位の病院として、世界中の患者さんを受け入れています。まさに、雲の上の存在のような病院へ研修に行かせて頂きました。(研修前に知っていたら、ますますナーバスになっていたと思います。)
Presbyterian Medical Centerでは、Lee先生の手術を拝見しました。朝7時半過ぎから手術が始まり、17時ごろまでには、5件のロボット支援下の前立腺全摘術が実施されました。前立腺全摘除術は、個人差があり、泌尿器科領域の手術の中では、最も難しい手術の1つであると考えられていますが、どんな症例でも、2時間弱で手術は終了していました。(早いのは1時間程度。)その中には、放射線治療後の再発症例に対するものなど、非常に困難を伴う症例も含まれていました。しかしながら、どの症例も、淡々とよどみなく手術が進みました。まさにこういう手術が、上手な手術なんだと思いました。また、手術用のトロッカーの挿入や、手術の助手など、日本では当然医師が行っているような操作を医師ではない、メディカルアシスタントが行っており、医療制度の違いを感じました。手術中のBGMは、ロックが流れていました。それに合わせて、看護師さんが、踊りながら歌いながら手術用器械を出されていたので、これまた、文化の違いを感じた次第であります。
後日、フィラデルフィア小児病院でも、手術を拝見させて頂きました。停留精巣やヘルニア根治術などの手術がメインでした。停留精巣の手術は、小生にとっては、緊張を伴う手術です。しかしながら、second のCarr 先生は、フェローの若手の先生と手術をされていましたが、Lee先生同様に、よどみなく、短時間で手術が終了し、本当にきれいな手術を見せて頂きました。
病院での研修が終わった後は、その先生方との会食があり、本来であれば、小島教授だけであったと思いますが、小生もご招待いただきました。英語は全く分からず、また話せず、恥ずかしい時間を過ごしました。小島教授は、非常に楽しそう会食されており、羨ましく感じました。

独立記念館
あいにくの曇り空でしたが、研修の合間に、歴史ある街並みの散策を少々堪能いたしました。

フィラデルフィア美術館脇のロッキーの像
陽気なアメリカ人は、ロッキーの像よろしく、ほとんどの人が、両手を挙げたポーズをとって写真を撮っていました。しかし、小生にはできませんでした。フィラデルフィアは、北緯40度で岩手県盛岡市よりやや北に位置しますので、1月は最低気温マイナス5℃とすごく寒いとの前情報でした。わざわざ、分厚いコートを購入しましたが、この日は19℃あり、半袖半ズボンで歩いている人もいました…。
研修させて頂いた、両施設です。特に小児病院のCHのロゴがカッコよかったです。術衣のズボンのポケットにこのロゴが入っていました。当院も入れてもらいたいです。
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Lee先生、小島教授をはじめ、スタッフの方々との記念撮影
中華料理店での食事の後で撮影しました。
メニューが読めず、適当なものを注文したところ、半端なく辛くて食べられず、笑われてしまいました。
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今回の研修で強く感じたことは、世界は広く、未知の世界ばかりであるということでした。福島で一臨床医として研鑚するだけでは、わからない世界があるということでした。明日からの診療にすぐに役立つことではないかもしれませんが、医師として、人間として少しだけですが、広い視野を持てるようになったような気がいたします。