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ダヴィンチSiを用いたロボット支援下の前立腺全摘除術を開始いたしました。

 福島県立医科大学附属病院に、東日本では初めて医療支援用ロボット・ダヴィンチSiが搬入され、ダヴィンチ使用した前立腺全摘手術が当院でも行われています(図1図2)。

当院に導入された、“最新機種ダヴィンチSi”は、旧機種のダヴィンチSをさらに進化させたもので、3次元画像 の改善、コンソールのエルゴノミクス設定の強化による機能面安全面の向上のみならず、デユアル・コンソールやスキルシミュレーター搭載による教育面の向上が図られ、より安全で確実な手術が期待されています。

当局のダヴィンチSi

(図1)
当局のダヴィンチSi
当院のダヴィンチSiです。このままでは患者さんとのドッキングができませんので、滅菌のシートをつけてから手術を行います。
(図2)
ダヴィンチSiデュアルコンソール
ダヴィンチSiに特徴的なデュアルコンソールです。サージョンコンソール脇にda Vinci Siのロゴが輝いています。

今までの開腹手術や腹腔鏡手術との大きな違いは、10倍の拡大視野で、なおかつ立体画像でみえるので、術野が良く見えること、そして、ロボットの手を使うことで、人では行うことができないような、さらに細かい手術操作も可能になったことです。

前立腺は、骨盤深くにある臓器であり、前立腺全摘除術は、泌尿器科領域の手術の中では、最も難しい手術のひとつに挙げられるかと思います(図3)。

さらに、その前立腺を摘出後、膀胱と尿道の吻合を、その深い骨盤で行わなければなりません。このダヴィンチを使用することでその吻合が容易になりました。

(図3)
前立腺全摘除術イメージ
前立腺の場所は、骨盤の一番奥に存在しています。骨盤が狭い患者さんの手術は以前の開腹手術では大変困難でした。前立腺全摘術は、前立腺と精嚢という精液をためる袋を一緒に摘出し、その後、膀胱を引き下げて、尿道と縫い合わせる手術です。

  また、ダヴィンチSiの最大の特徴は、サージョンコンソールが2台になったことです(図2)。
これにより、術者2人が同じ画像を見ながら手術を行うことが可能となりました。ロボットの手を動かすのはどちらの術者でも可能です。2人で協力しながらの手術や、術者や学生教育などに対して、革新的な進歩が期待できると思います。

それ以外にも、ダヴィンチSiになってから、画質の向上操作性の向上安全機能の向上などが改良されました。

したがって、さらに患者さんに安心、安全の手術治療をご提供できるかと思います。

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ロボット支援下根治的前立腺摘除術とはどのような手術か

 これまでは、前立腺全摘術は、開腹手術でおこなっていました。
直接お腹に手をいれて出来るため、癒着の強い場合出血が多くなった場合などには、適した方法でした。しかし、お腹を大きく切開するため、傷が大きく、かつ創部痛も強かったのが欠点でした(図4図5)。

(図4) (図5)
ダヴィンチ手術と開腹手術の傷 実際の手術痕の違い
ダビンチ手術と開腹手術の傷です。 実際の手術痕の違いです。

そこで、登場したのが腹腔鏡下手術です。腹腔鏡下手術は、内視鏡を使い、拡大視野で手術をすることができるため、微細な操作が可能であり、出血量の減少や、術中術後のトラブルの回避に大きく貢献しました。

また、傷も小さく済むため、術後の創部痛も少なく体の回復も早いです。しかし、この腹腔鏡にも欠点がありました。テレビモニターをみながらの手術操作となるために、吻合操作を含めた手術操作自体が難しく、手術時間が長くなる傾向にありました。

ロボット支援下手術は、ロボットアームという特殊な機械を患者さんの体に装着して、6ヶ所の傷口から手術操作を行います(図6図7)。

ロボットという名前が付いていますが、手術を行うのはあくまで医師です。ロボットアームは、ヒトの手と同じかそれ以上の動きをすることができ、細かい操作をすることができます。

これまで困難であった、膀胱尿道の吻合操作が容易になり、手術時間が短くなりました。また、腹腔鏡は、テレビモニターをみながらの操作でしたが、ロボット手術では、立体画像で手術を行うことができ、かつ10倍の拡大画像で手術を行うことができます。したがって、腹腔鏡下手術の長所をさらに発展させ、短所を補う手術方法です。

(図6)
ドッキング
患者さんとダヴィンチがドッキングしたところです。ダヴィンチサポーティングドクターが患者さんの両脇に常に待機しています。手術のサポートや万一の場合に備えています。
(図7)
術者コンソール
術者コンソールには術者と術者と全く同じ三次元画像を見ることができるもう一台のコンソールがあります(デュアルコンソール)。
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