研究・学会活動
研究のテーマ
Oncology Research Group(オンコロジー・リサーチグループ)
筋層浸潤性膀胱癌におけるFGFR阻害薬エルダフィチニブ耐性機序の解明と新規併用治療戦略の開発
筋層浸潤性膀胱癌は再発・転移しやすく、予後不良ながんです。一部の症例ではFGFR1という増殖関連遺伝子が強く働いており、新たな治療標的として注目されています。一方、FGFR阻害薬エルダフィチニブは現在、主にFGFR3遺伝子変異や融合を有する尿路上皮癌に適応されており、FGFR1異常を有する膀胱癌に対する有効性や耐性機序は十分に解明されていません。本研究では、FGFR1異常をもつ膀胱癌細胞およびマウス移植腫瘍モデルを用いて解析を行いました。その結果、MET遺伝子増幅とMETシグナル活性化がエルダフィチニブ耐性化の中心的役割を担うこと、さらに腫瘍微小環境に存在するHGFがその耐性化を加速させることを明らかにしました。加えて、FGFR阻害薬とMET阻害薬の併用により、耐性腫瘍の増殖を強く抑制できました。
本研究は、臨床で使用されるFGFR阻害薬エルダフィチニブに対する耐性機序を、細胞株・網羅的プロテオーム解析・動物モデルを組み合わせて多面的に検証した点が特徴です。特に、FGFR1異常を有する筋層浸潤性膀胱癌に着目し、MET遺伝子増幅という具体的な耐性機序を示したこと、さらに腫瘍微小環境由来HGFが耐性化を促進することを示した点は新規性があります。治療面では、既存薬同士の併用で耐性克服効果を示しており、臨床応用へ直結しやすい研究です。
膀胱癌治療では薬剤耐性が予後悪化の大きな要因です。本研究は耐性の原因を明らかにし、FGFR阻害薬とMET阻害薬の併用という新たな治療選択肢を示しました。より効果的な個別化治療の実現が期待されます。
(Makabe S, Kojima Y, Nishita M, et al. MET signaling drives acquired resistance to erdafitinib in muscle-invasive bladder cancer cells. Cell Death Dis. 2025; 16: 868.)



